変化はチャンス!
-流通大再編を主導するPPIH

激変期を迎えた、流通小売業界。
ご承知のように、世界は今、高度デジタル化やAIなどによる「インダストリー4.0」(第4次産業革命)によって、市場やビジネスそのものが、大きく変革されていく過渡期にあります。
中でも、百貨店やGMS(総合スーパー)に代表される従来型リアル業態の衰退と、その一方で、Eコマース等ニューリテ躍進が目ざましいわが国の流通小売業界は、百年に一度あるかないかといわれるくらいの激変期を迎えており、他産業以上に、ダイナミックかつドラスティックな業界大再編の波がうねっています。
短期間に「流通第3極勢力」を築く
ところで、もともとPPIHの母体であるドン・キホーテは、変化や有事にめっぽう強い体質を持っており、逆にそれらを自らの成長チャンスに取り込んでいくのを得意とする企業です。
たとえば、日本経済が「失われた30年」と揶揄(やゆ)される、デフレの大低迷期を過ごしたこの30年の間に、PPIHの売上高は12億円(1990年6月期)から、その1000倍以上となる1兆3,289億円(2019年6月期)へと、目を見張るような成長を遂げ、ごく短期間のうちに、総合小売業としてはイオン、セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ流通第3極勢力を築くに至りました。
さらに、前述したように今、この業界は、大激変・大再編の渦中にありますが、同社はその台風の眼となってイノベーションを起こし、流通大再編を自ら主導しようとしています。

きっかけは、長崎屋の劇的な再生。
2019年1月、同社は資本・業務提携関係にあったユニー・ファミリーマートHD(現ファミリーマート)から、GMS第3位のユニーの株式を100%取得し、完全子会社化して業界を驚かせました。
ちなみにそのきっかけとなったのは、同社が2007年に買収した長崎屋の劇的な再生にあるでしょう。
当時、衰退著しかったGMSの老舗・長崎屋を、「MEGAドン・キホーテ」という、新たな総合DS(ディスカウント)業態に転換することによって見事に立ち直らせ、小売業部門単体での黒字化に成功しました。
簡単なことのように映るかもしれませんが、同社が成し遂げたこの「ポストGMS」は、業界においては歴史的とも言える課題であり、誰もが解決し得なかった、難問中の難問だったのです。

ともあれ、それが業界で高く評価され、その後の同社とユニー・ファミリーマートHDとの資本・業務提携(2017年8月)、さらに前述したユニーの子会社化につながったのは想像に難くありません。
実際のドン・キホーテによるユニー店舗の再生は、その業態転換実験店「MEGAドン・キホーテUNY」6店舗が2018年に大成功を収め、今ではこのダブルネームの業態転換店(「ドン・キホーテUNY」含む)が22店を数えます(2019年9月現在)。さらに今後3年間で、ユニー既存店約100店舗が、ダブルネーム業態に転換される予定です。

日本のドンキから世界のドンキへ
一方、同社は海外でも果敢な挑戦を続けています。特にシンガポール、タイ、香港などアセアンに「DON DON DONKI」という食品を主体にした新業態を、このところ立て続けに出店し、いずれも地元の大人気店になっています。
ちなみに2019年2月、同社はドンキホーテHDからPPIHへと社名を変更しましたが、言うまでもその狙いは、環太平洋(パン・パシフィック)の制覇、言い換えれば「日本のドンキから世界のドンキへ」という決意表明にほかなりません。
話を戻しましょう。これから、わが国の小売業界には、かつて経験したことがないような、未曽有の変化や有事が次々と押しよせるに違いありません。そしてPPIHは、それらを千載一遇の大チャンスと捉えているはずです。
